コンサル業界のケース面接を突破する3つのポイント

コンサル業界への転職にあたり、最大の関門として、多くの方が口を揃えるのが「ケース面接」です。「普段あまり馴染みのないテーマに関して、事前に情報を収集することも許されず、手元にある情報のみを使って答えを探す」ということは、一般的な事業会社で働いている限りそれほど求められることもないシチュエーションだと思います。

 

今回は、そんな「ケース面接」を突破するために参考になるポイントをいくつかご紹介しますので、コンサル転職の参考にしてみて下さい。

 

ケース面接で出題される問題

最初に、ケース面接が具体的にどのような質問であるか、いくつか例を紹介してみたいと思います。

  • 「オリンピックのメダル数を上げるためには?」
  • 「ハンドボールファンの数を2倍にするためには?」
  • 「蚊取り線香の売上を1.5倍にするには?」
  • 「教育市場で500億円の事業を立ち上げるには?」
  • 「カジノを建設する場合どこが良い?」
  • 「(資料を見て)この事業は、拡大、撤退、現状維持のいずれの戦略が良い?」

 

ユーザー数や市場規模の拡大に関する問題から、具体的にどのような事業をすべきかや、戦略の方向性を問うなど、実ビジネスの世界において何らかのの組織が、日々悩んでいる課題を問われることが一般的です。

 

実際にコンサルタントとして働く中で、クライアントから求められることは、これらの経営課題に対する解決策でありますので、「ケース面接」は、コンサルタントとしての資質を直接的に確かめる試験であるともいえます。

 

ケース面接で大切な3つのこと

ケース面接の対策本は世の中に数多く出ております。「前提を正しく確認する」や「全体像を提示する」「優先順位をつける」「理由を明確に述べる」など、複数の本で紹介されている内容は、コンサルタントとしてもその通りだなと思うものが多いです。

 

別記事で、ケース対策に参考になるお勧めの書籍を紹介しているので、詳しくはそちらを参考にしてみてください。(コンサル業界の面接対策でおすすめの書籍5冊)

 

一方、実際に面接をする中で、それらの書籍では必ずしも十分に強調されていないが、面接を通過する上で大切なポイントがあるとも感じています。個人的に思っていることではありますが、多くのコンサルタントが同様の感覚を持っているのではないかと思います。

 

①想像力を働かせる。リアリティを持って考える。

  • 多くの候補者の方が、ケース面接の場を、あたかも大学の試験を受けているかのような感覚で望まれている気がします。頭の良さを面接官にアピールするために、覚えてきたフレームワークや考え方を披露する場というような表現もできるかもしれません。
  • 残念ながらそのような意気込みで望まれる中途面接受験者から提示されるお話は、圧倒的にリアリティが欠けていることが本当に多いです。コンサルタントに求められているのは、数字遊びや論理的に整合性を取るということではありません。
  • 例えば、「新規の顧客を20%増やす必要があるので、近隣に住んでいる潜在顧客にチラシを配ったり、その地域の方が良く集まる施設でイベントをやって知名度を上げるのがよいと思います」というような回答を聞くと、もっと想像力を働かせて欲しいと思います。
    (「チラシを配って、イベントを開いたら新規顧客が20%増えます」と言われて、説得されるクライアントは恐らく一人もおりません)
  • ケースを説く際には、実際にクライアントの立場を想像しながら、なぜそのような課題を抱えているのか、なぜ解決できないのかということにも配慮したうえで、議論するようにしてみて下さい。

 

②複数の視点から物事を見る。

  • 「想像力を働かせる」ための具体的なやり方の一つが、複眼的に物事を見るということです。多くの中途面接受験者は、1つの視点だけで物事を語ろうとしてしまいます。
  • 一方で、世の中にある多くの問題については、唯一の正解があるわけではなく、対象者や対象時期などによって便益が異なるため、判断が難しいという特徴があります。
  • ケースの内容によっても異なりますが、切り替えるべき視点をいくつか紹介しますので、参考にしてみてください。
    • お客様の視点 vs 従業員の視点
    • 新規顧客の視点 vs リピート顧客の視点
    • 個人顧客の視点 vs 法人顧客の視点
    • 今 vs  将来の視点
    • 売上 vs コストの視点
    • ミクロの視点 vs マクロの視点 など

 

③建設的に議論をする。自分の考えに拘らない。

  • こちらも一部の方が勘違いしているのですが、コンサルティングファームは、個人の力をアピールすることよりも、チームとして成果を出すことを評価します。面接の場においても、面接官は一緒にケースを説いていくパートナーという意識で望むことの方が圧倒的に良い印象をもたれます。
  • また、議論をしている際に相手から質問された場合、「本当は違うと思っているのだが、直接言うのが難しいので、質問という形をとる」ということがよくあります。
  • 例えば、「おっしゃるプランでは、コストは確かに減りますが、売上に対する影響は問題ないでしょうか?」と聞かれた場合、面接官は心の中では、「売上に対する影響が大きすぎるから、そのプランではダメだろう」と思っていることが往々にしてあるのです。そうした状況下で、売上に影響がないことの理由を一所懸命に考えることは、完全な悪手です。

 

個人的な経験の引用は諸刃の剣

最後にもう一つ。ケース面接に回答する際に、個人的な経験を元に議論を展開される方がおります。個人的な経験を引用することで、無味乾燥とした数字遊びではなく、消費者視点を盛り込んだ深い議論に繋がることは確かにあります。

 

一方で、あなたや周囲の知り合いの意見は、世間一般を代表した意見では決してないことも多いため、説得力に欠けた強引なストーリーに聞こえてしまうリスクも孕んでいます。

 

そのため、もし個人的な経験をケース面接で使う場合には、「個人的な経験であり、必ずしも真実ではないかもしれませんが」などの前置きを伝えたうえで、面接官に提示し、意見を貰うというようなやり方が安全です。

 

ケース面接対策はとにかく準備

ケース面接の対策は地道に準備をすることが最も大切です。但し、間違った練習を繰り返しても全く上達しないのと同様、ケース対策も正しい意識を持って繰り返すことが必要です。

 

市販されているケース対策本に加えて、今回紹介した大切な3つのポイントを意識しながら、例題や、自作問題でトレーニングを繰り返してみて下さい。