コンサルティングファームの面接の質問の一つとして、「どうして転職しようと思ったの?」と転職理由を聞かれることがよくあります。
候補者の多くが、深くは考えずに「コンサルティングファームの方が成長できると思ったからです。具体的に言うとAやBのようなスキルが磨けると考えているからです」というように、ご回答されます。
決して間違った回答ではないですし、本心からそのように考えていらっしゃるのだと思うのですが、面接官に対して自分をアピールするという観点からいうと勿体無い気もします。
そこで、今回は、過去の転職理由も踏まえつつ、良い転職理由と、もったいない転職理由の特徴についてご紹介してみたいと思います。
転職理由はここが大切
転職理由を述べる際に、是非候補者の方に抑えて頂きたいポイントがいくつかあります。
これらは、転職理由を説明した後に、面接官から追加で質問や確認される可能性のあるポイントでもあるので、ちゃんと応えられるかどうかを確認してみてください。
①「何故今の職業では不十分なのか」を肯定的に説明できているか
- 世の中には、完璧な職場というのはおそらく存在しません。どんなに良い職場であっても、人によっては問題だと感じることがあると思います。
- 現在の職場に対して不満や課題を述べる人に対しては、コンサルティングファームに転職した後も同様に不満や課題を述べる人になるのではないかと、面接官はネガティブな感情を抱く傾向が強くなってしまうので、出来るだけさけるようにしましょう。
良い転職理由にするポイント:
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- ヤドカリは成長をするにつれて住処を変えていきます。
- 同様に、あなたの転職理由も、あなた自身が今の職場で成長する中で、新しい挑戦や課題に立ち向かう必要性が出てきたが故に、コンサルティングファームという職場に転職することが望ましいと伝えられれば、ポジティブな印象を面接官は受けるのではないでしょうか。
②「What」ではなく「Why」に本当に答えられているか
- 戦略コンサルティングファームに転職を考えていらっしゃる方の転職理由として、「今よりも経営に近い仕事をしたいから」「会社全体の意思決定に関わるような仕事をしたいから」といった回答をされる方がいらっしゃいます。
- 確かに戦略コンサルティングファームは、「経営に近い仕事」をします。但し、これは仕事の特徴(what)を説明しているだけではないでしょうか?
良い転職理由にするポイント:
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- 「Why」に答えるためには、「あなた」と回答を結びつける必要があります。全ての人に共通して当てはまる回答であってはいけません。
- 個人的な経験や、価値観、考え方といったものを転職理由を説明する際に入れることで、説得力のある転職理由に生まれ変わります。
③コンサルティングファームに転職した後を具体的に考えているか
- 「企業のトップと渡り合える交渉力を身に着けたい」「業界の最先端の知識を蓄えたい」などのスキルやノウハウを身につけたいという転職理由もよく耳にします。
- 一方で、残念ながら、コンサルティングファームに転職したからといって、全ての方が、これらのスキルやノウハウを身に着けることができるとは限りません。
良い転職理由にするポイント:
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- コンサルタントスキルは、課題を乗り越える中で身についていくものです。座学や教えてもらうだけでは本当の意味では身につきません。
- コンサルティングファームでのスキルを求めるのであれば、具体的に、コンサルティングファームでどの様な経験をすることで、スキルを身に着けたいかと述べるようにしましょう。
- ここで大切なのは、コンサルティングファームでの経験が、現実的な内容、および時間軸であるかどうかです。入社2~3年で企業のトップと渡り合う交渉力を身に着ける経験はほとんどないと思います。しっかりと事前にリサーチした上で、適切な回答ができるよう心がけてください。
結論:良い転職理由の特徴は、深く考え抜いたと思ってもらえるかどうか
いくつか紹介した例を見ていただいてお分かりになるとおり、良い転職理由というのは、それを聞いた人が、「この人はコンサルティングファームに転職するにあたって、しっかりと情報をリサーチし、自分なりに考えを深めているな」と思える回答であるということです。
時々勘違いをされて、目立つために、斬新さや奇抜さを転職理由に求めようとされる方もいらっしゃりますが、そのような必要は全くありません。逆に、そのような回答には論理的に繋がりが不十分であり、納得性に欠けていることがしばしばあります。
良い転職理由を書くためのコツは、3つです。
- まずは転職理由を文字に書き起こす
- 次に、今回紹介した3つのポイントに答えられているかを確認する
- 最後に、もう一度読み返して自分が伝えたいメッセージが分かりやすいかを確認する
その上で、可能であれば、転職しようと思っているコンサルティングファームに在籍する友人や、転職エージェントの方と相談してみて、客観的なアドバイスを頂くことができればベストです。