コンサルファームへの転職の際、必ず求められるものの一つが志望動機です。
応募書類への記載は勿論、ケースディスカッションのイメージが強い面接の場においても、志望動機について質問されることは度々あります。
そこで、今回は、コンサルティング業界の採用における、良い志望動機とはどのようなものなのかについてお伝えしたいと思います。
志望動機の重要性
そもそも、コンサルティングファームへの転職にあたって、志望動機はどの程度の重要性を占めているのでしょうか?
実は、あなたが思っている以上に採用において志望動機の重要性は高まってきています。
理由①:コンサルタントとして活躍する人材を見極めるには、志望動機が重要
2000年頃から国内でもコンサルティングファームの需要が徐々に高まり、各社採用を拡大してきました。特にここ数年は、戦略ファームにおいても、毎年数十人規模の採用をするようになりつつあります。
加えて、コンサルティングファームとして競争力を高めるためには、様々なプロジェクトを通じてコンサルティングスキルを高めた優秀なコンサルタントに出来るだけ長く活躍してほしいということで、定着を強化するための取り組みも強化してきました。
その一環として、入社タイミングにおいても、どの様な人材が中長期的に定着し、活躍できるのかということを見ていくと、筆記テストの結果や、ケースディスカッションの出来栄え(地頭力)と同様に、志望動機も重要であるということが、見えてきたのです。
理由②:ケースディスカッションの結果による見極めが難しくなりつつありる
コンサルティングファームの面接といえば、多くの方がケースディスカッションを想定されると思います。たしかに、多くのコンサルティングファームでは、今でもケース面接により、候補者の論理的思考力やコミュニケーション能力を測っています。
一方で、最近はコンサルティングファームに特化したケースディスカッション対策本や、過去に受験した候補者によるネットでの情報交換も活発化したことで、まじめな受験者のケースディスカッション対応力は着実に高まっていると思います。実感としては、受講者の約2割程度は十分な対策をされているように感じます。
そうした中で、候補者を絞っていくプロセスにおいては、よりソフトな側面に光を当てることが多いです。例えば、自社のコンサルタントが一緒に働きたいと思えるような人材か、長期的にうちの会社で頑張ってくれそうか など。そして、それらを見極める方法の一つとして、志望動機について、表面的な記載ではなく、真剣に考えたものであるのかがヒントになることが多いのです。
良い志望動機の特徴
面接官がコンサルティングファーム転職にあたって良いと思う志望動機には、以下のような特徴があります。
(文章として全てに応える必要はなく、質問をされた際に回答できていれば良いです)
①これまでの経験に基づいて、入社したい理由を述べている
具体的な経験から得た学びと入社の動機が紐づいていることは、説得力を高める上で大切です。
②コンサルティングファームに入社した後に、何をしたいかを述べている
入社した後に、具体的にどういう仕事をしたいのかを述べていることは、非常に大切です。何をしたいかを具体的にイメージできていないのに、そこに就職したいというのは、雇う側からすると、「?」がついてしまいます。
③今の職場でも何らかの努力をしたことを述べている
コンサルタントに転職するには、何か新しいものを獲得するためのはずです。今の職業でそれを獲得する努力や試みを仮にしていたとしたら、是非そのことを記載してくだい。
④中期的なキャリアにおける、コンサルティングファームの位置づけを述べている
コンサルティングファームに入社することは、ゴールではなく、手段です。ご自身のキャリアにおいて、何を達成したいのか、それとコンサルティングファームでの経験がどのように結びついているのかを是非考えてください。
⑤コンサルティングファームで働くことのデメリットも正しく踏まえている
コンサルタントとして働くことは必ずしも楽なことではありません。他の業界と比べても長く、急な予定変更をしなければならないこともあります。また、優秀な社員に囲まれることでプレッシャーを感じることもあると思います。それでも転職をしたいと強く言える理由になっているか確認してみてください。
大事なのは、何を書いているかではなく、「しっかりと考え抜いているか」ということです。
志望動機を書いたら、自分でも、他人からもチェックをしてもらう
良い志望動機を書くためのコツは、一回書いたらお終いではなく、推敲することが大切です。具体的なプロセスについて、書いてみますので、参考にしてみて下さい。
- まずは、志望動機で一番伝えたいコアのメッセージを決める
- 次に、上記のコアメッセージを中心に一度志望動機を通しで書いてみる
- 読み直した上で、面接官の立場になり、どのような質問ができるか考える
- 上記に挙げた5つのポイントも含めて、質問されたら答えられるようになっているかを確認し、必要に応じて加筆修正する
- 出来上がった志望動機を、第三者に確認してもらい、最終化する
最後の第三者の確認は、志望動機を友人には恥ずかしくて相談しにくいという方もいらっしゃるかと思います。そのような場合は、無料の転職エージェントなどを活用して確認をしてもらうことをお勧めします。
コンサルティングファームへの転職のチャンスは、何度もありません。今後数年間の人生を左右することでもあるので、申し込みにあたっては、多少慎重すぎるほどに、しっかりと準備することが良いと思っています。