戦略系コンサルファーム(マッキンゼー、BCG、アクセンチュア)の採用基準

戦略系コンサルファームへの転職にあたって、気になることの一つは「採用基準」です。

勿論、ファームごとに細かい要件には違いはありますが、基本的にはどのファームも、戦略コンサルタントとして優秀な人材を求めておるため、基準は似通ったものになりがちです。

そこで、今回は、主要3社(マッキンゼー、ボスコン、アクセンチュア)の採用基準を見る中で、外資コンサルファームの共通的な採用基準を、考えてみたいと思います。尚、デジタル領域の人材の採用が、マッキンゼーやボスコンなどで進んでいますが、そちらの採用基準については、また別の記事で紹介してみたいと思います。

 

有名なマッキンゼーの「採用基準」

戦略系ファームの採用基準を話す上で、まず外せないのはマッキンゼーで12年間採用活動と育成に関わってきた伊賀 泰代氏が執筆された「採用基準」です。

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本書では「リーダーシップ」の重要性について主にお話しておりますが、構成要素である「目標を掲げる」、「先頭に立つ」、「決定する」、「伝える」という能力を掘り下げているあたりは、多くの方に参考になると思います。

また、本書のP50に書かれている2つの能力については、全てのファームで共通的に求められる重要な基準といえるでしょう。

 

  • 『分析が得意で理解力が高く、洞察が深いだけでは「頭が良い(intelligent、smart)」とは呼ばれません。最もインテリジェントだと思われているのは、処方箋を書くための、構築型の能力がある人です。
    構築型の能力とは、「独自性があり、実現した時のインパクトが極めて大きな仮説を立てる能力」(仮説構築力)であり、「ゼロから、新しい提案の全体像を描く構築力や設計力」です。』

 

伊賀氏は新卒採用のご担当を長くされてきたとのことですが、、第二新卒は勿論、中途採用の方にとっても、コンサルティングファームがどのように考えて、採用活動を行っているのかが、よく分かると思いますので、お時間があれば一読してみると良いかと思います。

 

ボストンコンサルティンググループの採用基準

ボストンコンサルティンググループは、BCGバリューとして9つの価値観を掲げています。

BCGが市場におけるリーダー・ポジションを維持し、魅力的な職場であり続けるために行うあらゆることの礎としてグローバルで共通的に持つ価値観であり、この考え方が採用基準とも密接に繋がっていると考えられます。

  • プロフェッショナルとしての倫理
  • 個人の尊重
  • 多様性
  • 顧客第一主義
  • 戦略的視野
  • 付加価値の実現
  • パートナーシップ
  • 経営の最先端を切り開く
  • 社会的貢献

 

これらを採用基準に適用するとどう考えられるかというと、

例えば、「経営の最先端を切り開く」というのは、このように定義されています。

 

  • 「ゴールは、単にベストプラクティスを適用することではなく、新たなベストプラクティスを生み出すことだという信念が私たちの出発点です。クライアントにはそれぞれ異なる特性があり、たったひとつの解決策しかないケースはめったにありません。私たちは、革新的なアイデアは常に、クライアントの真の課題を創造的に解決しようとするチームの取り組みから生まれると信じています。(以下略)」

 

つまり、採用面接においても、紋切り型のテクニックを単に適用するだけではなく、面接官との対話を通じて、更に深く考えぬく姿勢が大切にされるということだと考えられます。

 

(参考)BCGバリュー

https://www.bcg.com/ja-jp/about/mission/values.aspx

 

アクセンチュアの採用基準

アクセンチュアにも、コア・バリューと言われる、会社のカルチャーを特徴付ける6つの価値観が存在します。

 

  • スチュワードシップ
  • ベスト・ピープル
  • クライアント価値の創造
  • ワン・グローバル・ネットワーク
  • 個人の尊重
  • インテグリティ

 

採用基準としてこれらの価値観を解釈すると、

例えば、「ベスト・ピープル」というのは、このように定義されています。

 

  • 「私たちのビジネスにとって最高の人材をひきつけ、育成し、引き留める。社員の意欲を駆り立て、”Can Do”という姿勢を発揮させ、協力的で相互に支え合う環境を作り出す。」

 

つまり、採用面接においても、自分がいかに優れた人材かということをアピールすることよりも、チームの中において、どのような貢献ができ、その結果どういった成果に繋がったのかということをうまくアピールすることが大切だと考えられます。

 

また、アクセンチュアは「成長意欲」もかなり重視しており、以下の要件も、求める人材として公式に発表されています。

  • 背伸びをしてでも目標に手を伸ばさずにはいられない
  • 自分も会社も世の中までも、変えたいと望む
  • ここで成長したあとは「次のステージ」も視野に入れている
  • チャレンジに、手加減をしない   ・・・

 

(参考)アクセンチュアのコア・バリュー

https://www.accenture.com/jp-ja/company-overview-values

 

戦略系コンサルファームの採用基準

マッキンゼー、ボスコン、アクセンチュアの採用基準を見ていくと、外資系戦略コンサルファームで共通的に求められる要件として、以下のような要素があると考えられます。

 

  • バリュー・付加価値に対する強烈なこだわり
  • 大きな目標に向けた圧倒的な成長意欲
  • 組織で成果を出すための「リーダーシップ」と「チームワーク」

 

抽象的な表現ではありますが、それぞれが何を指し示しているかは、本記事で紹介した各社の採用基準を読んでいただければ、深く理解できると思います。

 

最後に2つ。「ケース面接対策」と「英語力」について補足です。

「ケース面接対策」

採用基準のお話をする際に、候補者の方から、「『入社した人がケース対策をしなかった』という話を聞いたのだが、本当にしなくて良いのか?」という話題があがることがあります。今回紹介した各社の採用基準においても、ケース対策のことはあまりポジティブには捉えられていないように感じると思います。

ただし、私は、ケースの対策はしっかりとしておいたほうが良いと思います。というのも、それらの対策をすることは、コンサルタントとして、準備を疎かにせずやるという能力を示す一つの指標でもありますし、何よりご本人が落ち着いて面接に望むことができるようになるとも考えています。

また、「入社した人がケース対策をしなかった」という発言は、試験の前に「ほとんど勉強していなかった」といっておきながら点数の高い人たちが多くいたことからも、信憑性のほどがご理解いただけると思います。

 

「英語力」

外資系に初めて転職する方にとって意外と気になる「英語力」について採用基準としてどこまで必要なのかについて、マッキンゼー、ボスコン、アクセンチュアの方々に確認しました。

マッキンゼーでは、英語力がなければほぼ入社は難しいということでした。

一方で、ボスコン、アクセンチュアについては、英語力は大切だが、入社後でも十分伸ばせる能力であると考えており、採用時点では明確に基準は設けていないというお話でした。

英語に不安をお持ちということであれば、徹底的に鍛えてマッキンゼーに挑戦するか、ボスコンやアクセンチュアを考えるということが良いかと思います。