「コンサルに転職を考えているんですけど、やっていけなかった時が不安なんです」という悩みをつい先日大学時代の後輩から聞きました。
彼は日本を代表する大企業で5年間働いた27歳。
今の会社が嫌いなわけではないが、ゆったりとした毎日になんとなく焦りを感じはじめ、コンサルへの転職を考えているとのことであった。
転職後、コンサルタントとしてうまく成果を出せずに退職する事例は確かに存在しています。今回はそんな転職後の失敗をどのように回避していくかについて、ご紹介してみたいと思います。
よくある転職の失敗
コンサルタントに無事転職できたものの、その後うまく行かない人の中で、最も大きな理由は「上司やチームメンバーからいつもダメだしを受けてしまい、精神的に辛くなって、続けられなくなる」というものです。
といっても、決してコンサルティングファームがパワハラやモラハラが激しく、それに耐えられる人でなければ生き残れないということではありません。
なぜそのようなことが起こるのかについて、3つの典型的な原因と解決策を紹介していきます。
①コンサルタントとして求められている水準を理解できていない
コンサルタントは、単に与えられた仕事をこなすだけでは成果を出すことは出来ません。少数精鋭のチームで、短期間のうちにクライアントに付加価値を出していくためには、転職後1~2年程度でも、自ら考えて、プロジェクトのために何ができるのかということを主体的に考えられる人材にならなければいけません。
また、プロジェクトのアウトプットとして出す資料のクオリティについても、クライアントが自ら考えて分かることを纏めるのではなく、コンサルティングファームに頼んだからこそ分かりえる+αが何なのかということを意識せずに、とりあえず言われた仕事をこなそうと思っている限りは、チームで評価されることは厳しくなります。
解決策
面接の時点で、どのような時間軸で、コンサルタントとして、どのような役割が求められるかを確認しておく。
コンサルタントとして求められる役割を、毎回のプロジェクトごとにチームメンバーと明確に意識あわせをする。
②上司やチームメンバーとの相性が良くない
コンサルタントといっても人の子です。やはり相性というものはとても大切になってきます。いくら優秀な人であっても、プロジェクトの進め方や日常の会話の仕方などで違和感を覚える方はいらっしゃいます。
特に真面目なコンサルタントの場合は、自分がうまくできないからと、責めてしまい落ち込むことが多いのですが、他の方と一緒に働くことで、高いパフォーマンスを発揮されるコンサルタントは意外と多くいることを覚えておいてください。
解決策
コンサルティングファームの良いところはプロジェクトごとに、一緒に働くメンバーが変わることですので、うまくいかない時は、深く悩まず、次のプロジェクトではうまくいくと気持ちを切り替えましょう。
但し、同じことが次のプロジェクトでも起こってしまった場合は、自分のやり方に問題がないか、深く見直すようにしましょう。
③何のためにコンサルタントとして頑張っているのかが分からなくなる
プロジェクトによっては、終電で帰宅、朝も8時からミーティングということもあるかもしれません。1週間程度であればあまり気にせず過ごせるのですが、そうして辛い日を何度か挟みながら半年ほどたったある日、上司やチームメンバーから苦言を呈されると、「何のためにこんなに頑張っているんだろう」と思う瞬間もあると思います。
こうした時に、明確に何のために頑張っているかを答えられなくなると、だんだんと疲労が溜まるようになってきて、気力も弱まり、仕事のアウトプットも徐々に悪くなってくるという悪循環に陥ってしまうことがありがちです。
解決策
面接の際の志望動機を書く時に、単に受かるためだけでなく、自分が本当に何をしたいのかもあわせて考えてください。(資料に書くかどうかはその後に判断して下さい。)
入社後も、定期的に自分が入社前に考えた志望動機を見返して、本当にその目標に向かって前に進めているかを確認してみてください。
もし前に進めていないのであれば、どうしたら進めるのかを考えてみてください。
コンサルに転職した後に上手く行かなくても本当は失敗ではない?
ただ、コンサル転職に成功した場合、その後上手くいかなかったとしても、本当の意味で失敗とは言えない方も多いです。
特に20代での転職の場合は、コンサルティングファームに転職して働いたこと自体が次の転職の際にポジティブに働き、前職よりもよりよいポジションで転職に成功される方が多いです。
また、30代以上でコンサルに転職した場合についても、リスクはますます減ってくるものと思います。というのも、最近では「出戻り」を認める日系の大手企業も増えつつある状況です。外資系企業では、「出戻り」は当たり前のキャリアのプロセスとして存在していますので、今後人材不足が本格化する日本においても、ますます国内企業での「出戻り」容認が増えてくるのではないかと思っています。
勿論、コンサルタントに転職をした後に、1年程度で退職し、前職よりも給料水準が低い職業についている方も、10人に1人ほどは見かけます。ただ、逆に10人に9人は、前職と同水準、もしくはそれ以上に待遇の良い会社に転職しているともいえます。
いずれにせよ、コンサルタントへの転職は人生においても非常に大切な判断だと思いますので、まずは情報を収集し、腰をすえて考えてみることをお勧めします。