コンサル業界未経験の方にとっては、コンサルファームへの転職に伴う不安は、かなり大きいと思います。以前別の記事でご紹介したとおり、未経験で転職をすること自体は決して珍しいものではありませんが、しっかりとした準備を整えなければ、合格通知はなかなか獲得できません。
今回は、コンサルファーム採用担当者が、未経験コンサル転職者のどういったポイントを特に見ているのかについて、書類、面接、それぞれの観点からご紹介してみたいと思います。
コンサル転職の書類で見ているポイント
採用プロセスの中で、はじめに求められる書類については、大きく2つの役割があります。
- 面接に進めるかどうかを判定する補足的な材料
- 面接担当者が面接で活用するための補足的な材料
それぞれ具体的に見ていきましょう。
書類の役割1:「面接に進めるかどうかを判定する補足的な材料」
一点目の、「面接に進めるかどうかを判定する補足的な材料」というのは、主に学歴や職務履歴、志望動機を中心に判断することで、その人に、コンサルタントとして必要最低限の考える力や、努力する力、モチベーションが備わっているかを確認するというものです。
但し、「補足的」という部分が大切で、学歴や職務履歴がよくなければ無理ということではありません。多くのコンサルティングファームにおいては、書類審査とは別に筆記試験を設けている企業が多くあります。そのため、仮に、学歴や職務履歴に自信がないとしても、筆記試験で高い得点を出すことができれば、本面接に進むことは可能です。
尚、審査のプロセスの中で、筆記試験が求められないコンサルティングファームの場合は、志望動機で差別性を出すことが非常に大切になりますので、しっかり時間をかけて、他者のアドバイスも参考にして、準備してください。
書類の役割2:「面接に進めるかどうかを判定する補足的な材料」
二点目の、「面接担当者が面接で活用するための補足的な材料」というのは、主に志望動機や職務履歴を中心に活用されます。面接官は、事前にこれから候補者の書類をさっと目を通すことが一般的です。その上で、どのような人なのか、どのような質問をしようかというイメージをします。
というのも、コンサルティングファームにとって、優秀な人を確保することは生命線であり、面接においても、その人のパーソナリティを踏まえた上でより深く、正しく理解しようとすることが肝になるからです。
このことを逆手にとり、コンサルティングファームへの書類には、逆に自分として話したいこと、質問をしてもらいたいようなこと、売り出したい点を分かりやすく伝えられるように書く工夫が大切になってきます。
当たり前かも知れませんが、実際の書類を見ていると、兎に角事実を濃淡なく並べている印象を受けるものが多いです。
その人の人となりや、強みがにじみ出てくる書類、また是非これについて聞いてみたいと思えるような秀逸な書類を用意できている方は、10人に1人程度の感覚です。
特に伝える必要がない情報については、分量を減らすや、思い切って削る。逆に伝えたいことは、目立つように書く工夫をしてみましょう。
コンサル転職の面接で見ているポイント
面接の目的は、その方がコンサルタントとしてご活躍できるかどうかを正しく判断するということに尽きます。
具体的にいうと、以下の3つのポイントです。
- コンサルタントとして活躍できるスキルがあるか
- コンサルタントとして活躍できるモチベーションがあるか
- 今いる社員が、一緒に働きたいと人間だと思えるか
面接をしていると、多くの候補者の方が、一つ目のスキルにばかり着目されているように感じられます。勿論、「論理的な思考力」や「分かりやすく伝える力」は大切なのですが、面接を突破するという観点から見ると、実はモチベーションや人間性という部分が極めて大切になっているのです。
どういうことかというと、コンサル志望の候補者の「スキル」に関する分布は過去の経験を踏まえると、以下のようになっています。
- 極めて優秀であり、他の候補者とも明確に違いが分かるレベル:約1%
- しっかりと対策をし、最低限のレベルはクリアしているレベル:約2割
- 十分な対策をできておらず、面接を通すのは厳しいレベル:約8割
本当に優秀な方であれば、「スキル」のみで面接を突破し、採用に結びつくのですが、そのような方は、ほとんどいないのです。
ですので、コンサルティングファームへの転職対策にあたっては、一通りのスキル対策をした上で、「なぜコンサルティングファームに入りたいのか」「どうして自分は活躍できるのか」「コンサルタントとして何がしたいのか」ということを、説得力ある形で伝えられるのかということを磨いていただきたく思います。
入社確率を上げる方法はエージェントからフィードバックを受けること
では、具体的にどのようにするのかという点についてですが、「スキル」としての面接対策については、書籍がかなり豊富になってきておりますので、そのようなものを活用して準備いただくのがよいと思います。また、このサイトでも、他の記事で、スキルを高めるための練習方法について、紹介していきたいと思います。
一方で、「書類」の対策や、「モチベーション」「人間性」という部分については、自分だけでは限界もあり、スピードも遅くなってしまう傾向にあります。
そのため、転職エージェントを活用して、フィードバックを貰うことがお勧めです。コンサルティングファームに勤める友人などに見てもらうのも手としてはあるのですが、個人的に恥ずかしいや、比較的若いコンサルタントの方であればバイアスがかかってしまうこともあるので、エージェントと併用して活用することをお勧めします。