コンサルティングファームとは?仕事内容を具体的に解説

 

コンサルティングファームに未経験で転職を検討されていらっしゃる方にとって、コンサルタントがどのような仕事をしているのかということは非常に関心が高いテーマであると同時に、必ず知っておかなければならない内容でもあります。

 

今回は、コンサルティングファームの仕事内容について、少なくとも転職をするにあたって抑えておいたほうがよいと思われる内容についてカバーしてみたいと思います。

 

コンサルティングファームの歴史

コンサルファームの歴史は意外と古く、世界最初の経営コンサルティングファームが誕生したのは、1886年にアーサー・D・リトルが誕生した年と一般的に言われております。当当初は、オペレーションの最適化を中心とした効率化に関するコンサルティングサービスが中心でしたが、徐々に経営戦略という切り口で、経営者がどのような視点で企業運営をしていくべきなのかという戦略ファームが姿を見せるようになりました。

国内でも、1900年代に入り、日本能率協会などの日系コンサルティングファームが登場してきましたが、1966年にボストン・コンサルティング・グループが世界で2番目のオフィスを開設。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーやATカーニーなどの外資系戦略コンサルティングファームが参入することとなりました。

その後、金融機関や総合電機メーカーを母体としたシンクタンクや、ERPの導入を武器としたIT・会計系ファームの拡大などを経て、日本でのコンサルティング市場は順調に拡大をしていきました。

更に、2000年以降は、従来の経営戦略の策定支援だけにとどまらず、実行支援に対するクライアントのニーズも高まります。また、業界が拡大していく中で、コンサルティング業界内での差別化を目指し、よりニッチなニーズに応えるためのテーマ特化型の専門コンサルティングファームも徐々に拡大していくこととなります。

IT専門調査会社 IDC Japan株式会社によると、2017年の国内ビジネスコンサルティング市場は、前年度+8.2%増の3,921億円まで拡大しております。

但し、私はこの数値はまだまだ小さいのではないかと感じます。

2018年3月期の東証1部上場企業1,312社の最終利益合計は、30兆1410億円に上ります。これらの利益に対してコンサルティングファームの売上が占める割合は、わずか1%強にすぎません。

後述するとおり、コンサルティングファームがより利益にコミットする形の業態に変化していくことで、コンサルティング業界全体の市場規模もますます大きくなっていくと感じられます。

 

コンサルティングファームのビジネスモデル

コンサルティングファームのビジネスモデルは、大きく2つに分けられます。

 

一つ目は、定額サービス型です。

  • これは、プロジェクトごとに決められた業務を、コンサルティングファームが実施する対価として、クライアントから決められた金額を獲得するというモデルです。
  • 現状、コンサルティングのビジネスの大半はこのビジネスモデルです。
  • コンサルタントとしては、あらかじめプロジェクトのスコープが定まっているため、業務を推進しやすいというメリットが存在します。

 

二つ目は、成果報酬型です。

  • これは、プロジェクトごとに発生した成果に応じて、クライアントから一定の金額を獲得するというモデルです。
  • 現状プロジェクトの数としては限定的ですが、コンサルティングファームとクライアントの双方が結果にコミットするという大きなトレンドの中で徐々に増えつつあるモデルです。
  • コンサルタントとしては、事業の成果をより強く実感できるため、刺激や遣り甲斐を感じやすいというメリットが存在します。

 

コンサルティングファームとしては、リスクが大きい成果報酬型ですが、世の中の流れを踏まえると、これからのコンサルティングファームにおいては、普及しいくモデルと考えられます。

コンサルティングファームの具体的な仕事

コンサルティングファームの仕事内容はシンプルに整理すると以下の4つです。

  • クライアントの経営課題を洗い出す
  • 経営課題の中から、優先すべきものを特定する
  • 経営課題を解決するための道筋を提示・議論する
  • 実行に向けた取り組みを共に推進する

プロジェクトによっては、これら4つの中で一部のみを取り組むこともありますが、成果を出すためには、これら4つを一気通貫、かつ繰り返し継続的に行うことが大切になります。

特に、コンサルティングファームの付加価値として、「今解決すべき、本当の課題なのか」を特定することが大きいと思います。

グローバルでコンサルティングを経験する中で、日本のビジネスパーソンは海外と比べても非常に優秀な方が多いと思います。課題が何かを特定された後に解決策を試行錯誤して見つけ出すことにおいては、現場で経験を詰まれた従業員の方に対してコンサルタントが提供できる付加価値は限定的になることも多いです。但し、それらの強みをもたれているが故に、そもそも何が課題なのか、どれを優先すべきなのかということを、世の中のトレンドも踏まえたうえで、柵に囚われることなく考えることは不得手なことが多いです。

 

コンサルタントの代表的な仕事

最後に、コンサルタントの代表的な仕事内容を紹介します。

 

  • 業界ベストプラクティスの調査
  • 市場動向や最新テクノロジーに関するモニタリング
  • 既存顧客や潜在顧客に対するインタビューやアンケート
  • 新規収益やコスト削減規模のシュミレーション
  • オペレーション改善に向けた現状把握と課題洗い出し
  • 事業実現に向けた提携候補の選定と交渉支援 
  • M&A候補のビジネスデューデリジェンス
  • ビジネス実行に向けたプロトタイプの制作 など

 

プロジェクトごとに任される仕事内容は異なりますが、ご覧になっていただければ分かるとおり、多岐にわたる業務をこなすことがコンサルタントには期待されています。

尚、ここで、紹介したものはあくまで一部であり、仕事内容は常に進化・拡大している点も覚えておいてください。

 

結論

 

・コンサルティングファームは時代と共に進化
・今後も成果に拘るモデルが進むことで、更なる成長が期待される
・「課題の特定」から「実行支援」までを全てを支援することで大きな付加価値を創出
・コンサルタントは多様な業務をこなす中で幅広いスキルを獲得できる