アメリカ不動産テックの二代巨頭ZillowとRedfinを徹底分析

米国の住宅メディア業界では昨年Redfinの上場が話題となりました。上場から約1年間たった現在、業界1位だったZillowとの競争はどのように推移してきたのかについて今回はご紹介したいと思います。

 

Zillowとは

Zillowは2006年に創業し、わずか5年の2011年に上場した米国住宅メディア最大手企業です。

利用者数は2017年度四半期のサイトおよびモバイルアプリのMAUは1.5億人と非常に集客力があることが特徴で、17年度の売上は約10億ドル(約1,200億円 )にのぼります。直近も年率20%を超える成長率で伸び続けており、非常に勢いのある企業です。

ちなみに、米国の住宅関連の広告市場は、全体で170億ドルといわれておりますので、最大手のZillowであっても市場シェアは1割弱であり、まだまだ成長余地があると見られています。

 

(Zillowの売上の推移 : 単位は百万ドル)

ビジネスの特徴としては、広告収益が中心となっており、特に売上の71%を占めるエージェントが支払う広告手数料がビジネスの中核となっています。米国は日本のように仲介事業会社が住宅を紹介するというよりも、個人のエージェントを介して住宅の契約をすることが一般的であり、このような個人エージェントが収益を獲得するためのプラットフォームとして活用している状況です。

 

(Zillowの2017年度の売上構成:単位は百万ドル)

直近は事業拡大のために、買取再販業にも参入を始めています。買取再販業というのは、中古物件を買取った上で、リフォームやリノベーションで価値を向上させた後に販売して収益を獲得するビジネスです。

従来の広告ビジネスと比べると、資本が必要で、収益率も必ずしも高くはないモデルとなりますが、売上規模の成長や、プラットフォームとして、エージェントとユーザーの双方を惹き付けられる強い場となったことで、このような事業拡大をしたと想定されます。

 

Redfinとは

一方のRedfinは、Zillowよりも古い2014年創業の住宅メディアカンパニーであり、2017年に上場して注目を浴びました。

Zillowとの大きな違いで言うと、Zillowは広告掲載料を中心にビジネスを行っているのに対して、Redfinは成約手数料を中心にビジネスを行っています。つまり、Redfinは実際に住宅が販売された際にのみ、収益を獲得できるモデルというわけです。

しかも、米国は日本と異なり住宅を売りに出すことが非常に多くあるのですが、このような場合手数料として、約9%をエージェントに支払わなければならなかったのですが、Redfinはネットを中心とした取引に移行することで、この手数料水準を5%近くにまで引き下げることに成功したのです。

このように話すと多くの方は、それじゃあ、ZillowよりRedfinの方が、広告主や住宅の売り手にとってメリットが多く有望な企業なのではないかと思われるかもしれませんが、話はそれほど単純ではありません。

 

というのも、成約料金を中心とした事業モデルの場合、実際にRedfinがキャッシュを獲得できるのは、成約後しばらくしてからであり、広告掲載と同時に収益を獲得できるZillowモデルと比べると圧倒的に事業に活用できる資金に制限がでてきてしまうのです。

また、テクノロジーを活用することで成約量水準を引き下げることには成功したものの、やはり、成約ベースでは獲得できる広告在庫あたりの利益率という観点でも、単純な広告掲載モデルと比べると低くなってしまいました。

以上のような理由により、売上規模としては、Zillowに劣後する形で推移し、2017年度が3.7億ドルに留まっており、Zillowの約4割程度の水準となっていました。

 

ウェブマーケティング観点でZillowとRedfinを分析

ビジネスモデルが異なるため、SEOで狙うキーワードも異なります。

zillowはエリア×rearl estateで狙っていますが、redfineは仲介が収益なのでエリア×real estate agentsで対策をしています。

(Zillowのアンカーテキスト)

(redfineのアンカーテキスト)

なのでSEO経由のトラフィックも相当な差があることがわかります。

(オーガニックのトラフィック比較)

 

Redfin上場後1年たった2018年第二四半期までの両社の売上

Redfinが上場して約2年経ちましたが、結論から言うと両社とも非常に順調なペースで成長を続けています。

Zillowは2018年度の半期は、前年同期比で+22%の成長(513百万ドル⇒625百万ドル)、Redfinも2018年度の半期、前年同期比で+35%の成長(165百万ドル⇒223百万ドル)です。

(ZillowとRedfinの売上推移:単位は百万ドル)

ただし先ほどご紹介したとおり、米国の住宅関連市場は、広告費だけを見ても17Bドルの市場規模があり、まだまだ両社とも成長を続けることは間違いありません。

今後も引き続き目を話せない市場の一つです。